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【自動車整備学校の今を追う ~その2~】時代に合わせる教育…今、学校では何が行われているのか?

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整備学校の今をお伝えする
  • 整備学校の今をお伝えする
  • 大卒の資格も取得できるカリキュラムが組まれている
  • 出席はタイムカードで管理。これも実社会を意識してのものだ
  • ラジオ体操から一日が始まる
  • 授業の前には先生から、最近の自動車業界の動向や注意点などが伝えられた
  • 工程や納期などを確認しながら、実習は進められる
  • 実践により学生の経験が養われる
  • ナンバー付きのクルマを触る機会も
群馬自動車大学校の協力のもと、「整備学校の今」を追うレポートの2回目。
前回、学校という立場から見た“昔と今の学生気質の違い”についてお届けした。

今回は、『即戦力』を輩出するために、校内で何が行われているのか。そこにフォーカスした。時代や社会背景が学校にもたらす変化とは? 授業の様子とともにお伝えする。

◆全員が大卒資格を取得

様々な特色を打ち出し、学生の確保に努める全国の自動車整備学校。
群馬自動車大学校でも、『強み』を前面に打ち出し、 即戦力となる人材の育成が続けられている。

その一つが、「一級自動車整備士育成」についてだ。

自動車整備士には、資格の入り口とも言える三級から、最難関の一級までが存在。例えば、三級資格では、エンジンを分解修理したり、足まわりに関わる大がかりな整備を行うことができないなどの制限が生じてくる。

しかし、一級と二級は、長年「扱える仕事の差がない」(石井副校長)という状態が続いたこともあり、肩書の差が、そのまま就職の際の有利・不利に繋がるとは言えなかった。

だが、そんな状況が変わりつつあると、石井副校長は説明する。

「一級を取得した学生はインターン(卒業前に内定企業で行う業務体験)で、『明日からでも来て欲しい』と言われるケースが非常に多いです。また入社後も、二級の学生は成長までに1年位かかると言われていたものが、一級だと半年という評価もいただいています」



最近になり、多くの企業が一級の生徒を欲しがる傾向が強まっていることを、同校では感じている。また自動車検査員になるために要する期間が、一級取得者だと半年に縮められた例などを見ても、ますます“差別化”が図られるのは想像に難くない。

だからこそ、様々なメリットを打ち出し、これからも学校として一級取得に向けた取り組みを推進していく。



◆全員が大卒資格を取得

では、群馬自動車大学校では、一級整備士資格の取得を学校の強みにするため、どのような取り組みを行っているのだろうか。

まず、最大の特徴と言えるのが、「大卒資格」を取得できるという点だ。「二級自動車整備科」が2年制であるのに対し、「一級」は4年制。この期間を利用して、一級自動車整備科に通う学生は、同時に産業能率大学にも在籍する。『整備学校』と『大学』。この勉強を同時に行い、両方の卒業が目指される。



「一級整備士で、かつ大卒資格も持っているのは社会に出た際、大きな強みになります」

石井副校長は、メリットをこう語る。大卒資格を同時に取得するための取り組みを行っている自動車整備学校は他にも多い。しかし、“学生全員”となると全国でも稀な取り組みだという。

同校の自動車整備科は入学時に、「一級」か「二級」、どちらに進むかを選択。スタート地点で、自らの道を決めることになるのだが、これは、大学の3年に編入することを考慮してのものだ。

一級整備士の国家試験を迎える時期は、大学卒業でも山場の時期となる。そのため、大学の卒業単位が負担にならないよう、一級の学生は、1、2年生の時に、大学の単位を最大12単位取得できるようなカリキュラムが組まれている。

◆一級整備士取得率87.7%

2003年に設立された一級自動車整備科。ここでは、学生のうちから実際の現場の雰囲気を味わえる工夫も施されている。

例えば、登校時。学校の出席確認といえば、朝のホームルームで行われる「点呼」をイメージする人も多いだろう。しかし群馬自動車大学校では、登校した学生が、校舎の入り口に置かれたタイムカードに打刻し、一日のスタートを切る。「会社ではタイムカードを使用している所が多いので、今のうちから習慣になればいいと思い、導入しています」と石井副校長は、その意図を語った。



授業も、きわめて実践的だ。一見すると整備工場にしか見えない実習場では、ナンバー付き車両の車検整備を行う機会を学生に与えたり、黒板に記された期日を確認しながら作業が進められている。




座学では想定できないことが起こるのが現場だとしたら、この授業方法はとても有効だ。納期を意識する習慣などを身につけるのに、『早すぎる』ということはない。ほかにも学生自ら部品販売店にパーツの発注を行うなど、今後自分が行うであろう作業が卒業前に学べるようになっている。




その様子は、まさしくリアルな整備の現場そのもの。“知”と“技”。教育の現場では、この両面を学生に上手く吸収させる工夫を施し、その成長を支えているのだ。

このような取り組みに加え、国家試験に向けた的確な指導も行い、合格に向けた後押しが続けられる。同校の一級整備士取得率は、過去4年の実績平均で87.7%。学生の努力に、学校が力を添えることで、このような高水準の合格率を樹立し続けている。

在学中に一級を取得するという流れは、今後の整備学校でますます拍車がかかっていくのことが今回の話を通じて分かった。新たな局面に差し掛かっている自動車整備業界の入り口では、時代のニーズに合わせた人材育成が進められる。

◇群馬自動車大学校◇

1967年に「群馬自動車整備技術学校」として開校。2007年に現在の名称となり、17年には創立50周年を迎えた。1年課程の自動車車体整備科、カスタマイズ科、2年課程の一級・二級自動車整備科(一級は計4年在籍)、3年課程の国際メカニック科で構成される。

産業能率大学(通信制)に在籍し、大卒資格も取得できる体制が整えられていることや、ランボルギーニ、フェラーリなどの高級車を教材車として用意するなど、独自の取り組みでも人気を集めている。小倉基宏学校長。



《間宮輝憲》

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